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医療ニュース


セルフケアで、花粉にさよなら
花粉症対策の基本は、体内に花粉を侵入させないことです。
マスクやメガネをはじめ、さまざまな工夫で花粉から体をガードしましょう。




[class A(R) 薬局の健康情報紙]February 2010より
21世紀は予防医療の時代
特定健診の対象にもなったLDL(悪玉)コレステロール値。
あなたは自分のLDL(悪玉)コレステロール値をご存知だろうか。
知ることがなぜ大事なのか、その理由と危険性とは、そして有効な対策とは。
平光ハートクリニック(愛知県名古屋市)・平光伸也院長に伺った。
「沖縄クライシス」が示唆する、いま・ここにある危機
長寿県として知られる沖縄で異変が起きている。男性の平均寿命が1995年の全国4位から2000年には全国26位(厚生労働省調べ)へと急降下したのである。05年も25位と依然横ばい。
「この『沖縄クライシス』は、食生活と深くかかわっているとみられています。沖縄は戦後の米軍からの影響により、食生活の欧米化が一足先に進展しました。脂肪やコレステロールの多い食物を摂取し続けた結果といえます。沖縄に食生活の欧米化が浸透し始めたのは1960年代、全国では1970年代です。つまり、今後この現象は全国で広がると予測され、わが国にとって由々しき事態です」
LDL(悪玉)コレステロールと動脈硬化性疾患の研究に取り組み平光伸也・平光ハートクリニック医院はこう指摘する。特に危機感を抱いているのは、コレステロールの過剰摂取である。「コレステロールの低い食事になじんできた日本人の身体は、まだ急速な欧米化に対応しきれていないのです。それが欧米人並みの量を摂取しているわけですから、どうしてもコレステロールの摂取過剰になります。60年代初頭と比べて肥満は約2倍、悪玉コレステロールが血液中に過剰に存在する高LDLコレステロール血症は約8倍に増加しています」
肝臓で合成されたコレステロールに加え、食物を通して摂取されるコレステロールも小腸から血液中へと送り出されるため、血液中はいわば渋滞状態。過剰な悪玉コレステロールは容易に血管壁にとりこまれ、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患に直結するプラーク(動脈硬化性疾患の引き金になる血管の瘤のようなもの)を形成してしまうことになる。日本人の死因に占める脳梗塞や心筋梗塞など動脈硬化性疾患の割合は、約28%。3人に1人弱は、突然来る心筋梗塞や重い後遺症を引き起こす脳梗塞に見舞われかねない。ダウンは本人だけの問題ではない。突然死は残された家族に言い知れぬ打撃を与えるだろうし、たとえ生き残ったとしても重い後遺症のための介護など家族に負担をかけ、企業トップなら、会社の存続にかかわってくる。
さらに怖いのは、高LDLコレステロール血症は自覚症状がほぼゼロ、知らないうちに始まり、気づかないうちに進行、ある日突然発症することだ。
「動脈硬化は20年ぐらいかけてゆっくり進行します。外食が多く飲酒や喫煙をつづけてきた男性は40代以上が危険ゾーン。最近では食後の脂質が異常に高くなり、しかもなかなか消えない、食後高脂血症も増えています。食後高脂血症は肥満やメタボリック・シンドローム、さらには糖尿病によくみらえます。まさに食生活の欧米化が生んだ歓迎されない副産物なのです。」
まずはLDL-C値(悪玉コレステロール値)を把握することが大事
現代人にとって幸いなことは、高LDLコレステロール血症は日常レベルでの改善が可能なことである。その第一歩は、自分のLDL-C値(悪玉コレステロール値)を把握することにある。
「2008年4月から導入された特定健診では、LDL-C値(悪玉コレステロール値)が必須検査項目となっているので、どなたでもご自身のLDL-C値(悪玉コレステロール値)がわかるはずです。健診結果はご自身の身体の状態を知る目安ですからきちんと目を通すようにしてほしいですね」
ただし、基準値以下だから安心と独り合点する素人判断は危険である。
「加齢(男性45歳以上、女性55歳以上)、高血圧や糖尿病、喫煙、心疾患の家族歴など、動脈硬化性疾患のリスクを保有状況に応じて、目標にすべき数値は変わります。また、軽い高血圧や軽度の肥満など、軽い異常が積み重なった状態は意外にリスクが高いので、軽視してはいけません」
コレステロールは、こうした 個人の状況に応じた管理目標値まで下げることが重要。健診で得られた数値は、必ずしも自分の管理目標値と一致しない場合もあるので医師に相談することが必要だ。
「特定健診の導入後、今まではなかなか検出されなかった軽度から中等度の患者さんもスクリーニングされるようになりました。コレステロール値はさほど高くなくても、他のリスク因子を保有していてすぐに治療をしなくてはいけない患者さんも多いので、このように早期発見ができるようになってきたことは患者さんのために良いことだと思います」
悪玉コレステロール対策は、食生活の改善と適度な運動が基本。とはいえ、生活習慣の改善は維持が難しいことも事実。仕事で重責を担い、不義理できない宴席もある。生活のリズムも乱れがちなら、食生活の改善も思い通りにいかない。ビジネスマンの多くは、これが現実であろう。
「脂肪の吸収を抑える、コレステロールを下げるサプリメントに頼る方もいますが、お薦めできません。生活習慣の改善だけで管理できない場合は、薬物療法という選択肢があります」
薬物療法にも新しい波が
高LDLコレステロール血症は近年、研究が急速に前進し、従来の肝臓での合成を抑える治療法に加え、小腸からの吸収を抑える画期的な治療法が登場した。小腸でコレステロールを吸収するトランスポーターに作用することで、吸収を抑えて、コレステロールを体外に排出するのである。この吸収を抑える治療法は、前述の食後高脂血症にも効果があることがわかってきたと、平光院長は自らの研究成果を紹介する。この新たな治療法が加わったことで、その人の体質や状態に合った治療法が選択できるようになったのである。
「治療法の選択肢が広がったことは、患者さんにとってプラス。喜ばしいことですね。医師に相談していただければ、当面食事・運動療法が必要か、薬剤を処方することが必要か、その際はどういった薬剤がいいかなど、個々の患者さんに合った適切な治療法を示してくれるはずです」
予防医療の時代に向けて大人がすべきこと
「日本人のコレステロールの摂取量は増加の一途をたどり、現在では欧米人の摂取量に匹敵しています。特に気がかりなのは小さいときからファーストフードになじんだ子どもたちや若い世代。われわれの世代もファーストフードを取ることがありますが、彼らは欧米の水準よりはるかに多く摂取しているわけですから、本当に心配です。『沖縄クライシス』は決して他人事ではありません」
こうした将来にわたる懸念について、平光院長は、教育の実施と親が典範を示すことが必要である、と語る。
「アメリカでは肥満が多いのにコレステロール値が減ってきているのは、子どものころからきちんとした教育をしているからです。日本でも、生活習慣を改善すること、それが難しいようであれば、適切な薬物治療を受けるなど、親が未来ある子どもたちに、『予防と早めの対処』という重要なことを、身をもって示してあげてほしいものですね」
21世紀は予防医療の時代。自分と家族を襲うリスクを回避し、リタイア後の生活をエンジョイするために、また子や孫の世代に安心の種を蒔くために、いますぐ行動を起こしたいものである。
PRESIDENT 2009年12月14日号 掲載タイアップ記事より