引き上げ動作とは?
バレエをされている方々にとっては当たり前に通じる単語だと思いますが、経験がない方や鑑賞することがない方には耳なじみのないものだと思います。バレエにとってターンアウトと同じくらい重要な基本動作であり、基本姿勢ともいえるものです。
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※追記 2020年10月「引き上げ動作」について新しい記事を書きました。
「引き上げ動作」という呼び方の通り、上に引き上げられているような感じで、身体を伸ばす、というような表現をされるものですが...
具体的にどこをどう動かすのか?
骨や関節はどんな形になっていることが正しいのか?
きちんと答えられる方は多くないように感じます。
上に引き上げる、と言っても誰かが天井から引っ張ってくれているわけではないですし。
重心を高くする、という表現もされるようですが、どこの筋肉を使えばいいのか分かりにくいと感じます。
引き上げ動作で重要なポイントは「背骨」です。
正確には、首から骨盤まで連なる脊柱という骨が縦に積み重なったものになります。
人間の脊柱は画像のように首(頸椎)から骨盤(仙骨)まで骨が並んでいて、S字にカーブしています。
上から
頸椎、7個。
胸椎、12個。
腰椎、5個。
仙骨は1個に合体。
このカーブは主に頭の重さを支えたり、運動時の衝撃を吸収する仕事をしています。
脊柱が真っ直ぐだと走ったり飛んだり、階段を降りるときの衝撃が分散されずに腰や骨盤、膝などにかかってしまいます。
引き上げ動作は、この脊柱を限りなく真っ直ぐにする動作、姿勢となります。
人の身体の自然な形からすると良くないことのように感じますが、これにはメリットがあります。
バレエではフィギュアスケートでいうスピンやダンスのターンのような、回転する動作が多く、キレのあるターンを効率よく、かつ連続して行うことを要求されます。
軸足を組み替えず、反対の脚も地面につけないで連続回転をする「グラン・フェッテ」がそれにあたるかと思います。
脊柱を真っ直ぐにするメリットは、このターンの際に回転軸がブレにくくなる事です。
回転させるおもちゃのコマを思い浮かべてみましょう、形は左右対称で、回転軸は真っ直ぐになっているはずです。
自然な脊柱のカーブは衝撃を分散させてくれますが、ターンの際には回転力を分散させてしまうのです。
正しく行うためには?
引き上げ動作は脊柱を真っ直ぐに近づける動作と表現しました。では、どこを使えば真っ直ぐになるのか。
基本動作として使う機会も多く、ターン中はずっとその姿勢をキープしている必要があります。
余計な所に力を入れてしまい、無理やり形だけ出来ているように行っている方は
「ターンが続かない」
「特定の場所が疲れる」
「どこかを故障する」
といった状態になってしまいます。
必要なところだけに力を入れて、他はリラックスしている。
そのためには、どこに力を入れればよいのか?
脊柱の中で大きなカーブとして、胸椎の後弯(後方へのわんきょく)と腰椎の前弯(前方へのわんきょく)があります。
この二つのカーブを真っ直ぐにしたいのです。
腰椎のカーブには
「内・外腹斜筋」を使い
胸椎のカーブには
脊柱起立筋群の
「胸棘筋」
「胸半棘筋」
「胸腸肋筋」
を使います。
(画像では外腹斜筋が真ん中まで来ていますが、実際には途中で腹筋を包む腱でできたさやに付きます、赤から白に変わるところです。)
左右の片側だけが働くと身体をひねる働きをしますが、同時に働くことで肋骨と骨盤を引き寄せて腰椎のカーブを真っ直ぐに近づけます。
この動きには、腹直筋や股関節を動かす大腰筋の働きも関わっています。
いくつもの筋肉を細かくコントロールする事で、腰椎に関しての引き上げ動作を行っているのです。
この時、腹筋群で一番深いところにある腹横筋は腰椎の安定と、骨盤と肋骨がねじれたりしてブレることを防ぐ働きをしています。
脊柱起立筋群には、多くの種類があります。
今回挙げた3つは下にある胸椎から上に位置する胸椎、もしくは。
下に位置する胸椎から上に位置する肋骨にかけて筋肉があり、力を入れると胸椎を伸ばすことができます。
背筋を正すときに使う筋肉なので、力を入れることは意識しやすいと思います。
しかし、この筋肉は独立して使うことが少なく、使おうとすると同時に腰部の起立筋にも力が入ってしまう方が多いです。
すると、腰椎が反ってしまい、反対の動きをしようと使っている腹筋群に余計な負荷がかかります。
施術の際にはその意識の仕方や、独立した動きができるようになるための指導をしています。
どの筋肉を使えばいいかは分かったけど
意識して使うとか、独立して使うのはどうすれば?
実はターンアウトの記事を投稿した後、こういった質問を受けました。
ターンアウトの記事
これについて、回答となる記事は下記から
「特定の筋肉を意識する 必要なところだけに力を入れるためには」
普段、意識して使うことのない場所を使えるようにする。
そこだけに力を入れて独立した動きや、細かく加減をコントロールする。
それはトレーニングによって出来るようになります。
自分の行っている競技の動きを繰り返すだけでは難しい場合もあります。
そのあたりの仕組みを中心に書いています、良かったらそちらも読んでみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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